急性中耳炎

急性中耳炎の治療方針について

当院では、鼓膜の所見と症状を見て、軽症・中等度・重度の3段階のいずれかを判断し、治療します。

鼓膜所見は

  • 赤く発赤してるか
  • 盛り上がって鼓膜が腫れ上がっているか
  • 鼓膜から耳漏が出ているか

症状とは

  • 発熱がどの程度か
  • 乳幼児では、機嫌が悪く痛そうなのか
  • 年齢は2歳未満なのか

上記の点に関して、細かく見ます。

そして、上記の項目に対して点数化し、総合的に重症度を決めてまいります(0~12点以上)。これは、2013年度版の急性中耳炎のガイドラインに添った診断基準であり、当院では中耳炎のガイドラインに応じて、治療を行っております。

次に、その重症度に応じた治療をしていきます。
軽度であれば、抗生剤なしで、3日位様子を見ます。

中等度~重度であれば、抗生剤の服用が必要となります。当院では、耳漏がある時は、必ず初診時に耳漏の細菌検査をすることで、患者さんにとってふさわしい抗生剤を、出来るだけ早くに見つけるように治療をすすめております。無駄な服用を回避していただくことが、患者さんの治療において、もっとも重要だからです。

抗生剤の使い方の特徴は、近年の抗生剤耐性菌の増加に伴い、乳幼児でも常用量ではなく、1.5以上の高用量の服用です。また、重度の場合には、高用量でも、発熱や耳痛が1日弱続くならば、中耳の中の膿を減らしたり、換気を良くする為に、痛くないよう鼓膜に処置をして、切開をする場合もあります。切開に関しては当院でも保護者様もしくは患者様ご本人のご要望をお伺いした上ですすめてまいりますが、多くの場合は、翌日には平熱になり、痛みもなくなる為、患者様のご容態によっては推奨する場合もあります。また、抗生剤も服用しているので、切開跡は数日で閉じて鼓膜に穴が残る事は大多数です。
何故か、二度目の来院の子供さんは、ニコニコ顔です。

そして、抗生剤の服用期間はできる限り短くしていただきたいのが、本音です。但し、あまりにも早くやめてしまうと、1~2週間後には、また耳痛が復活するケースが多いです。その為、しっかり鼓膜所見が正常化するまでは、服用は必要です。大体1週間(長い場合は2週間前後)でおわり、治る場合が多いので、医師に必ず相談していただいた上で服用をやめていただくことが重要です。

最後に、中耳炎は鼻の奥の耳管というところから、中耳に直接細菌が入ってきます。その為、鼻汁を減らし1日でも早く治すために、耳管に近い鼻の奥の鼻汁を吸引することで通気を良くすることは大事だと考えております。また、出来ればネブライザーを行う事で鼻内の炎症も抑えることができますので、回復速度を促進することができますのでおすすめです。